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MBC合同会計ニュース

2019年12月号

白井清一
税理士 白井 清一
源泉徴収と年末調整

 
 我が国特有の徴税制度の一つとして給与所得に対する源泉徴収制度があり、給与の支払い者は特別徴収義務者として給与の支払いをする際に税金を給与から天引きして税務署に納めるというものです。給与の支払い者は制度上年末調整までのすべての源泉徴収事務についての責任を負うことになります。
 
 国税庁の発表した平成29年分民間給与実態調査によれば、この制度の対象となる給与所得者は5,811万人、徴収税額が10兆円余りで、この事務を行う特別徴収義務者の数は353万件となっています。
 
 国の予算を100兆円とするとその内10%程を給与支払い者、つまり民間の事務負担が徴税に貢献していると言えるのではないでしょうか。
 
 毎月ごと源泉徴収した税額の一年間分を対象として、本年最後の給与の支払をする際に、受給者ごとの一年間の税額を精算することを「年末調整」と言います。
 
 この源泉徴収事務において計算誤りや手続きの不備による徴収不足があった場合には、給与の受給者からではなく、税務署は給与の支払い者、つまり、特別徴収義務者からその税金を徴収します。
 
 毎月の給与の支払から天引きする税額ですが、給与の額を国税庁の作成した源泉徴収税額表(月額表)に当てはめて計算します。この税額表には甲欄と乙欄があり甲欄で計算できるのは給与の受給者が会社宛てに、その年の給与の最初の支払いの時までに「扶養控除等申告書」を提出した者に限られ、しかも、この人だけが年末調整の対象者となります。
 
 税務調査などにおいてこの扶養控除等申告書が提出されていないことが確認されると税額を乙欄で計算されることになります。乙欄は、扶養控除等申告書が他の勤務先に出されているという前提により、甲欄よりも税額が高く設定されていますので当然不足額が計算されて、この不足額を特別徴収義務者である会社が納付させられると言う事になります。
 
 給与の支払い者である会社等は、来年分の扶養控除等申告書を社員・従業員から年末調整に際し確実に提出を受けておくことが重要です。

中山吉晴
税理士 中山 吉晴
会社の税率と個人の税率、どちらが安い?
 
税金は安い方がいいのは、どなたでもYESでしょう。では、日本の税率って、どうなっているでしょう?
まず個人(人間)の稼ぎにかかる税金(所得税・復興税・住民税)

次に法人(会社)の利益にかかる税金(法人税・復興税・住民税・事業税など)
法人(会社)の利益にかかる税金(法人税・復興税・住民税・事業税など)

単純に税率を比較すると、個人所得330万円以下、20.21%、法人所得400万円以下22.464%
ここまでは個人の方が有利です。
しかし、個人所得が330万円を超えて、695万円までは30.42%となり、法人が有利になります。
それ以上の所得になると、法人は1.5億円まで24.898%であるのに比べ、個人は4千万超で最高税率の55.945%に達してしまいます。
 
つまり、ほとんどの場合、法人税の方が安いということになります。
これは、会社の税率を下げることで、優良会社が海外に出ていくことを防止しようとしているためです。
 
会社経営している方は、給与所得の人や、個人経営の方に比べて、有利なわけです。
芸能人が会社を立ち上げるのも、このためです。
税率24.898%ということは、税金を払っても、約75%会社にお金が残るということです。
 

2019年11月号

税理士 白井 清一
「相続は早い者勝ち!」とは

 
 過日、某週刊誌の見出しに「相続は早い者勝ち」という見出しが載っていました。何の事だろうと思い立ち読みしたところ、次のような内容でした。
 
 遺言書で「全ての不動産を長男に相続させる。」とあっても、長男が相続登記をする前に次男が法定相続分により相続人全員の共有持分割合で相続登記を行なうと、長男はすべての持分を遺言書に従って取り戻せなくなる、というものでした。
 
 登記後、次男の債権者が抵当権の設定や差押をした場合にも、長男は遺言書を盾にしてこれらの行為を取り越すことはできない、と言う事になります。
 
 どういうことかと申しますと、新しい相続法(民法)がこの7月1日から施行され遺言に関する取り扱いが変更されたことによるものです。
 
 以前は、遺言書で「長男に全部相続させる。」とあれば、他の相続人が共有持分で登記したとしても遺言の効力が優先し、登記がなくとも第三者に対抗することができ、長男は遺言書の通り土地を取戻すことができました。
 
 そうすると、遺言の存在を知らない次男の債権者は、次男の共有持ち分について担保の提供や差押をしたとしても取り消されて貸金などの回収が困難となり損害を被ることになります。
 
 この債権者の保護のため、長男は、遺言があっても法定相続分を超える部分については登記をしないと第三者に対抗することができなくなりました。
 
 一般的に登記については、先に登記をした方が優先しますので、例えば土地の二重売買でお金を払ったのに登記が遅れ、その間に別の人が登記をすれば、お金を払っていても土地を自分のものにできなくなります。この一般的な取扱いと合わせたともいえると思います。
 
 法律の改正は、週刊誌の言うように相続における抜け駆けを許すことが目的ではありませんが、結果として先に登記をされることにより相続の手続きをより複雑なものにされる事態が生じかねないというのが現実です。
 
 遺言については、遺留分の問題とともに「遺言書があれば絶対大丈夫」とは言えませんが、それでも遺言は重要です。

税理士 中山 吉晴
税務調査 最近の動向

 
 今の季節、税務署の調査の最盛期です。
税務調査にもサイクルがあって、4月から6月、8月から11月がもっとも調査の多い時期です。それには理由があって、年の初めは源泉報告や確定申告があるため、税理士が関与している会社については調査を遠慮しているようです。(税理士関与のない会社は、ここで調査するらしいです)また、7月には税務署の移動、8月は夏休みなどで調査が少ない傾向です。
 
 税理士関与している会社は、調査依頼は会社にはいかず、税理士にきます。
ただし、小売り、飲食店などの現金商売は、予告なしの立ち入り調査が入ることも、多いです。
その場合、中には上げず、即座に税理士に電話をしてください。
この時の目的は、現金管理をちゃんとやっているかの確認ですから、それが終わったら、次の調査の日程を決めて、帰ってもらいます。
 
調査の目的は、売上の漏れ、架空経費の計上、個人的費用の会社へのつけこみです。
しかし、最近こんなことをやっている会社はほとんどなく、調査目的は期ずれに移ります。
 
 棚卸計上漏れとか、期末ぎりぎりの売上が翌期の売上にずれ込んでいることを、期ずれといいます。
会社とすると、今期で計上するか、来期で計上するかの違いだけで、脱税ではない、という意識が強くて、期ずれがある会社は、結構あります。
しかし、意図的にこれをやったと認定されると、脱税とされ、重加算税(35%)が課されます。
 
 次のターゲットは源泉税です。
これは給料に係る所得税が適正に課税されているかを、チェックします。
外人の源泉税、パートさんの源泉税、通勤手当の扱いなどがポイントです。
それと、会社では外注扱いしているが、個人の事業主で毎日会社に来ている人、いわゆる一人親方が、実態は給与になるのではないかも焦点となります。
これも含め、源泉税で間違いが見つかると、過去5年分は追加徴収されるので、非常に厳しいです。
 
経費を見だしたら、そろそろ最終段階です。
税務署が探すのは、個人的な飲み食いや、香典・祝い金などが会社の交際費に紛れ込んでいないか、です。
これがみつかると、会社の経費から外されるのは当然ですが、さらに社長の所得とされて、個人にも税金がかかります。
全部合わせると、なんとほぼ100%に近い税金となってしまいます。

2019年10月号

税理士 白井 清一
消費税本番

 
 いよいよ消費税が原則10%となりましたが、例外として食料品などについては軽減税率の8%とされ、更に特例として経過措置の対象になる一部の取引については旧税率の8%が適用されます。
 
 このように税率が複雑になりますが、特に難解なものが軽減税率対象品に該当するかどうかの判定です。
 
 よく出る話として、ハンバーガーを店のテーブルで食べたら10%で持ち帰るなら8%の消費税になるというあれです!
 
 リポビタンD とオロナミンC 、水道の水とミネラルウオーター、店での飲食と出前、カラオケボックスで飲むジュースと映画館の売店のジュース、駅の売店で買う新聞と自宅に配達される新聞という具合に例を挙げればきりがありませんが、リポビタンDは10%でオロナミンCは8%という具合に、例の前に掲げたものは税率が10%で課税され、後のものは軽減税率が適用されて8%の課税となります。
 
 店頭で売られている牛肉は8%、では、生きている牛は%のなん税率か? 答えは10%となります。それならば、水槽付きのトラックで運ばれてくる活魚も生きているから10%と考えたいところですが、魚は8%で良いそうです。
このように、単にモノに注目しても軽減税率の対象品はなかなか理屈で割り切ることができません。
 
 国税庁の説明によれば、この軽減税率の対象品目は、「酒類以外の食品表示法に規定するすべての飲食物」とされ、医薬品、医薬部外品などは飲食物に含まれないとされています。
 
 うちの会社は取扱商品に軽減税率対象品目は無いからといって安心はできません。
 
 経費の中で、出前をとったり、購入した食料品については軽減税率が適用されますので、この10月からは「区分記載請求書等」として請求書や領収書に軽減税率対象品の表示と対象金額を記載された請求書などを保存し、記帳しないと消費税の申告が不利になることがありますので注意が必要です。

税理士 中山 吉晴
消費税 こんな対応に要注意!

 
10月1日から消費税が10%になり、食料品の販売は8%の軽減税率になります。
特にこの10月をまたぐ取引は、要注意です。
 
1.締め日が月末でない請求書
例えば20日締めの場合、10月分の請求は、9/21から10/20の請求になります。
この時、9/21から9/30までの請求分は8%
    10/1から10/20までの請求分は10%
で請求することになります。(当たり前ですが)
したがって、請求書を2つに分けて作る必要があります。
仕入れ先や外注先が間違っていないか、チェックすることも必要です)
 
2.月単位のサービスは別
例えば、アパートの管理料や会計事務所の顧問料のように、月単位で請求するサービスの場合、 締め日は20日でも、中身は1か月分という日割りできないものなので、10月分は全部10%になります。
 
3.経過措置のあるもの
3/31までに契約し、10/1以後に完成引き渡すもの(工事など)は特例で、8%になります。
 
4.工事業などの出来高払いのもの
厳密に考えると非常に難しい問題がありますが、実務上は、 工事を毎月「部分引き渡し」している場合は、10月分からは10%、 そうではなく、全体の工事を一括で引き受けて、完成後に一括引き渡す場合は、引き渡し日が 10/1以後であれば、その前にもらう金額も全て10%になります。
これは、契約書の内容で判断しますが、明確には分からないことが多いと思います。ご相談ください。
 
5.もしも5月契約で10/1以後引き渡しの仕事を8%の消費税で請求していたら
誤りです。10%の請求に直してください。
もし、直せないとき、差額の2%は請求側(もらう側)が国に払うことになり、損をしてしまいます。
経過措置のあるもの以外で、10/1以後に引き渡したものの消費税は、10%です。
 当事者同士の合意があっても8%にはなりません。
 
6.法律通りにやっていれば、消費税で損をすることはありません
例えば得意先は経過措置がある工事で、8%の消費税でも、その工事の下請けの外注費は 10/1以後10%になります。
一見、得意先が損をするように見えますが、そんなことはありません。
例えば、1億円の売上に8%の消費税をもらうと800万円。
その原価が7千万の時、10%の消費税で700万円支払います。
そして800万―700万=100万円は国に治める消費税です。
差し引き0円で損も得もありません。
もしも、下請けに圧力をかけ、消費税を8%に変えさせた場合は、7千万×8%の560万消費税を払います。
しかし、税務上は支払総額7560万×10/110=687万が支払った消費税になり、800万―687万=113万円が国に治める消費税です。 結局これも差し引き0円で損も得もありません。
つまり、下請けの消費税を下げさせると、国へ払う消費税が、その分上がるので、意味がないということです。
得意先が売上5千万円超の会社である限り、簡易課税はできませんので、この計算で間違いありません。
これを知らないで、損をすると思っている得意先から8%にしろ、という要求があっても、その必要は ないのでは?と、教えてあげてください。
ちなみにこの圧力をかけると、優位的立場を乱用した下請けいじめになりますので、ご注意ください。

2019年9月号

税理士 白井 清一
いよいよ消費税率変更
 

 来月(10月1日)からいよいよ消費税が10%の税率で適用されます。
この増税にあたり、政府も増税後の景気対策をいろいろ講じておりますが、その一つとして先月お話したポイント還元制度があります。
 
 政府の政策と言うのはどうも動きが鈍く、経済産業省の資料によればポイント還元の対象店舗の登録数が7月30日現在、全国で239,273店、神奈川県で12,598店そのうち相模原では12店の登録しかありません。
 
 この登録件数は、全国の中小零細企業の数の内に占める割合として考えると極めて少ないのではないかと思います。
 
 若い人たちは、カードやスマホを使ったキャッシュレス決済に慣れておりポイン
ト還元を期待していることでしょし、また、店側としては、対象店舗として登録することにより非登録店より競争力が確保できると思います。
8・9月のこの2か月間で登録も増えると思いますが、いささか心配です。
 
 このポイント還元もそうですが、もう一つ重要なことがあります。それは、消費税率を適用するときの「経過措置」と言われるものです。
 
 食料品については、軽減税率が適用され8%となりますが、食料品以外は原則として税率を10%として計算します。
 
 この例外として、今年の3月31日までに契約した請負契約などであれば、これから引き渡しをするものでも8%の税率が適用されます。
 
 また、3月31日までに結ばれた賃貸借契約により店舗や工場などの貸し借りを行っている場合で、契約期間中は賃料の変更ができないこと、また、契約期間中に解約の申し入れができないことなどが契約書の記載で明らかになっているなど、一定の条件を満たしている場合には、その契約期間中は10月分からの賃料についても消費税率は8%で計算されます。
 
 それ以外の賃料に対する消費税率は10月分の賃料から10%で計算します。
賃料を受け取った時ではなく、貸付の期間が10月から適用されますので前家賃契約の場合には特に注意が必要です。
 
 経過措置の適用などについての不明点は、MBCの担当までお尋ねください。

税理士 中山 吉晴
会社の借り入れの保証人にならなくていい?

 
「経営者保証に関するガイドライン」というものがあります。(中小企業庁のホームページにのっています)
これは、中小企業庁や金融庁などの役所、日本商工会議所や全国銀行協会などの民間団体、さらに信用保証
協会や政策金融公庫などが関わって作られた、借り入れの保証人に関するルールです。
 
つまり、
①中小事業者と金融機関がお金の貸し借りをするときに、社長が連帯保証人になるべきか?
②借金が返済できなくなった時に、連帯保証人の財産を、どこまで返済に充てるか?
を決めたルールです。(平成25年12月公表)
 
法的な拘束力は無いようですが、銀行、保証協会、中小企業が自主的に守るべき「規範」として、裁判などでも引用されているようです。
 

このガイドラインによると、経営者の個人補償について
①法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
②多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費(従来の自由
  財産99万円に加え、年齢等に応じて約100~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
①保証債務の履行時に返済しきれない債務残高は原則として免除すること
などを定めています。(第三者保証についても②、③について同じ取り扱い) 中小企業庁HPより抜粋

 
①の場合には社長個人が連帯保証人にならずに、借り入れができるわけですが、それは
・会社と経営者個人の資産・経理が明確に分離されている
・会社と経営者の間の資金のやり取りが、社会通念上適切な範囲を超えない
 本社の土地建物などは会社所有(個人所有の場合適切な家賃の授受があること)
 経営者の個人的な費用が明確に分離されていること
 経営者への貸し付けが無いこと
・法人のみの資産・収益力で借り入れ返済が可能と判断しうる
・法人から適時適切に財務情報等が提供されている
などの条件があります。
 
②の自由財産とは、破産等をした場合でも残せる財産のことを言います。
 
この趣旨に沿った融資が、「事業性評価融資」で、金融庁が金融機関に指導しています。
 
事業性融資は、事業計画の良し悪し、返済可能性などを、事業計画書で判断します。
つまり、これからは「過去情報」よりも「未来情報」が重要になるわけです。
未来情報を伝える資料としては、次のようなものがあります。
①企業の財務・事業の実態を伝えるもの
 登記簿謄本、株主一覧、役員経歴書、会社沿革、組織図、従業員数及び平均年齢、決算書等
 販売先・仕入先一覧(販売内容、取引内容も必要)、商品一覧(商品名、商品概要など)
②今後の経営課題・経営改善の方向性の検討に必要な資料
 競合の概要、市場概要、占有率、市場の将来性など
③課題解決のためのアクションプランを提供
 ②の問題を解決するための具体的な方法、時期、計画、予測
 
いろいろな条件をクリアしなければならず、また、金融機関によって温度差もありますが、「ガイドライン」
にそって保証人の要否を判断してほしいと、要請してみてはいかがですか?
ただし連帯保証人が外れた場合、残念ながら金利は少し上がってしまいます。(0.3~0.5%くらい?)

2019年8月号

税理士 白井 清一
消費税のポイント還元
 

 いよいよ参議院選挙も終わり10月からの消費税増税に向けての準備を完了させることが現実になりました。
 
 この消費税増税による消費の落ち込みを回避しようと政府もいろいろな政策を講じておりますが、その中の目玉として10月1日から9か月間に限り「キャッシュレス・消費者還元事業」と称して、消費税のポイント還元制度が実施されます。
 
 この消費税ポイント還元制度について、ご承知のことと思いますが念のためお話させていただきたいと思います。
 
 消費税の増税と併せていわゆるキャシュレス決済を普及させようというもので、ポイント還元できる店で買物やサービスを受けるときに、その支払いをクレジットカードやセブンペイ、ペイペイなどの電子マネーによる決済方法を使ってキャッシュレスで決済すると、スーパーやコンビニなどの系列店では2%、小規模の事業者の店では5%のポイントが付くというものです。
 
 消費者の立場からすれば、同じものを買うならポイントが付く店を選ぶと思います。となると、我々事業者側としてはポイント還元のできる店になる必要があります。
 
 自分の店がカードなどでキャッシュレス決済をしているのであれば是非ポイント還元できる店として登録することをお勧めします。
 
 この場合、カード決済事業者等に対する支払手数料が発生しますが、この9か月間は3分の1の補助があり実質負担は2.17%以下と安くなります。但し、期間経過後は、その決済事業者の手数料率に戻ります。
 
 また、店にキャッシュレス決済の端末を置く場合には、端末設置費用の補助もあります。
 
 準備期間としては残すところわずかの期間しかありませんが、もともとカードなどで決済していた店であれば、カード決済事業者を通じて比較的簡単な手続きで審査と登録を受けることができます。
 
 具体的な手続きなど、不明なことがあればMBCの担当までお尋ねください。

税理士 中山 吉晴
利回りは、いろいろ使えます

 
「利回り」という言葉、考え方があります。
代表的な利回りに、預金の利率があります。
今は定期預金でも無いに等しい利回りですが、昭和のころは年6%とか、けた違いでした。
 
ここでいう利率、利回りとは、元金を1年間預ける(運用する)と、利息が元金の何%つくか、という率のことです。
つまり、利回りとは元手が、1年間でどのくらい増えるかの割合といえます。
 
この利回りという考え方を、不動産投資にあてはめると、次のようになります。
1億円の物件を買って、家賃が月50万円、年600万円入ると、利回り6%。
これなら、2%の借り入れ金利を払っても、採算がとれるかな?とか考えます。
(この他にも、減価償却費と借り入れ返済のバランスや、家賃が周りに比べて高くないかとか、いろいろ考えてから投資しますが)
 
では、会社の利回りはどう測るのでしょうか。
これは、設立の時を考えるとわかりやすいです。
最初に入れたお金(資本金)が1年たった時、いくらに増えているか(減る場合もありますが)です。
もしも300万円の資本金が、1年後に360万円になっていたら、20%の利回りです。
資本の部を純資産といい、この利回りを「純資産利益率}といいます。
通常の場合、この利益率は預金よりずっと高く、したがって預金に回すお金があったら事業につぎ込んだ方がずっと有利な投資だ、という事になります。
 
これはなぜかというと、預金の利回りは銀行が利益をとり、社員に高額な給料を払い、色々な投資を行った後に残ったお金のほんの一部だけを預金者におすそわけしているにすぎないからです。
 
それに比べれば自分の事業はピンはねする人はいなく、儲けがそのまま会社(株主)に残るから利回りが良いわけです。
 
ただ、本来払うべき経費(たとえば適正な役員報酬、社員の残業代、家賃、社会保険料など)払っていない会社は結構多くあります。
この場合の利益率は、それらを引いた後の利益でちゃんと計算しないと正しいとはいえません。
 
たとえばM&Aで他の会社を買う場合などは、この利益率が重要な指標の一つですが、誤った率を元に判断すると、大変なことになってしまいます。
隠れた経費がないかなど、正しいかどうかの検証を徹底的にやってから、買うかどうかの判断をします。

2019年7月号

税理士 白井 清一
相続における預貯金の取り扱い 

 以前は、遺産の中の預貯金は相続の開始と同時に法律で定めれた相続分により相続人に帰属するものとされ、法律的には自分の法定相続分の払戻しを金融機関に請求することができました。
 
 この取り扱いが平成28年12月の最高裁の判決により変更され、相続における被相続人の「預貯金については遺産分割の対象とする。」とされたことはマスコミでも取り上げられたのでご承知の方も多いと思います。
 
この取り扱いの変更で遺産分割が整わない間は預貯金の払戻ができないこととなり、被相続人の葬儀費用やそれまで扶養されていた人が生活費の工面をできない場面も出てきます。
 
 そこで平成30年の春の国会で最高裁の判例変更に沿った民法の改正がされ遺産分割前の仮払い制度が創設されました。
 
その内容ですが、相続人はその金融機関にある預貯金の額の3分の1に法定相続分をかけた金額(但し、150万円を限度とする。)を単独で払い戻しを受けることができることとされました。
 
 例として、相続人が配偶者と長男・次男の子供2人でA銀行の預金が1,500万円とすると次のようになります。
 
 配偶者が払戻をするとき、1,500万円×1/3×1/2=250万円の内150万円を限度として払い戻しを請求することができます。
 
 同様に長男・次男について見ると1,500万円×1/3×1/2×1/2=125万円となり、125万円までは払戻を請求できることになります。
 
 この払戻し限度金額の計算は金融機関ごとに行います。つまり最大で150万円を預金のある金融機関の数だけ払戻ができることになります。
 
 この取り扱いが適用されるのは、今年の7月1日からですが、6月までの相続についても、これから預金の払戻しを請求するのであれば適用があります。
 
 できるからと言って、各相続人が自分勝手に払戻しを受けると感情的な問題にも発展し他の財産の分割にも支障が出ることが懸念されますので、速やかに円満な分割を行った上で預貯金の払戻しを受けるべきだと考えます。

税理士 中山 吉晴
マクドナルド藤田田氏の教え
 

日本マクドナルドの創業者、藤田田(ふじたでん)氏の著作、「ユダヤの商法」が再販され、人気のようです。
半世紀を経て、ようやく世の中が藤田氏に追い付いてきたようで、いい教えがいくつもありましたので、ご紹介します。
 
金を貸したい人と借りたい人はどちらが多いか?
借りたい人が多いのではと思うが、実は貸したい人が多い。
銀行はその貸したい人から預金を得て、事業者に貸し付け、儲けている
 
よく考えると金を貸したい人の方が圧倒的に多いのかもしれません。
金融商品詐欺にあう人や、インターネットでお金を集めるクラウドファンディングに出資する人が大勢いることが、その表れです。
世の中には貸したい人が大勢いる、これはすごい気づきです。
 
儲けたければ
①女を狙え(女性相手の商売をやれ)
②口を狙え(食品、飲食関係の商売をやれ)
 
これは今でも通用する真理です。
女性相手の健康、美容、ダイエットなどの商品は不景気な今の世でも売れ続けています。
また、家、車、家具、その他の家庭での買い物の主導権は、たいがいの場合女性にあります。
 
食品、飲食店等、口に入れる商品は必ず消化され、次が必要になるため、永遠に売れ続けるわけです。
そして飲食店ほど、社長の工夫やアイディア次第で短期間で成功できる商売はそうはありません。
 
なぜ脱税でおたおたするか?税金を組み込んだ販売計画を練ればいいのに。
 
儲かった、だけど税金払うの嫌だ、が普通の感覚ですが、藤田氏は納税まで計画に組み込み、これだけ儲けて納税後にこれだけ残そう、と考えていたのでしょう。
そして、その計画以上に実績を上げていたわけです。
 
(他人の)時を盗むな  不意の客は泥棒と思え。
時は金なり、あなたの月収から時給を計算して、30分の無駄はいくらに換算されるのか?
 
藤田氏は不意の客には会わなかったようです。
事前に予約を求められた場合も、アポイントは10分単位で設定して、価値のない話は、早々にお引き取りいただいていました。
これは藤田氏が自分の時間をいかに大事に、濃密に仕事をしていたか、ということでしょう。
 
暇のない人間は金儲けができない。商人はまずヒマを作れ
 
ヒマを作るには効率化、権限移譲、いろいろやりかたはあるのでしょうが、経営者は経営のことを考える時間がなければ、稼げるわけはありません。
忙しいといって、日々の業務に逃げている私もおおいに反省しております
やはり、賢人の言葉は、時間がたっても風化しないのですね。

2019年6月号

税理士 白井 清一
消費税率変更への準備
 10月1日からの消費税率変更への準備を進められていることと思いますが、帳簿と請求書の記載内容について最低限の話をさせて頂きたいと思います。
 まず、帳簿の記載ですが次のようになります。
(表は「税理」6月号から引用)

 
 請求書の記載内容は次のようになり、これを「区分記載請求書」と言い2023年9月30日まで使用できます。2023年10月1日からは「インボイス」方式となり、これを発行するには「インボイス発行事業者」の登録が必要になります。
 
 帳簿・請求書とも 下線の部分が現行から追加になる事柄です。要は、税率が10%と8%の取引の区分をしなさいと言う事です。
 
 取引のすべてが10%であれば、今までと変わるところはありませんが、全てが8%の取引である場合はその旨を請求書に記載する必要があります。
該当する会社や事業所は対応への準備を急ぐ必要があります。
 
 不明点や疑問点は、MBCの担当者までご遠慮なくお尋ねください。
税理士 中山 吉晴
事前に届け出ると役員賞与がOK?
 

法人税には「事前確定届出給与」という制度があり、これを利用すると、役員賞与が損金に認められます。
 
これを利用するにはまず、届出期限(通常株主総会の日の1か月後)までに、賞与の金額と支給日その他を記載して、税務署に出します。
ここに記載する賞与は、今期これから支給する賞与、つまり予定を書くわけです。
 
実際には、この記載と違った支給をした場合は、その賞与はすべて損金にならなくなってしまいます。
例えば、7月25日と12月25日に100万円づつと記載してあるのに、実際には支給日がずれたり、分けて払ったり、12月だけ99万円にしたりすると、全部、つまり7月も12月もまとめて、否認されてしまうのです。
 
そもそも、あらかじめ賞与を決めるなら、月々の報酬をその分アップすればこんな届出をしなくていいのに、いろんな先生が節税の手法として紹介しているのは、次のようなやり方をするからです。
 
届出には、期末に近い時期に1回だけ、例えば200万円の賞与と記載する。
利益状況が良ければその通り支給し、悪くて支給できなかった場合は支給しません。
これであれば、利益が出たときは支給するから節税になり、赤字で支給できないときは、否認される金額が0なので税金は出ません。(夏冬2回払いとの違いはここにあります)
 
ただ、このやり方、節税になるのは限定的です。
というのは、法人税率が下がったため、社長が賞与で取ると、所得税や社会保険料の負担の方が、多くなってしまうからです。
現在の税率は次のようになっています。
個人所得 330万以下 20.21% 695万以下 30.42% 900万以下 33.483%  の税率
法人所得 400万以下 22.464% 800万以下 24.898% 1.5億以下 37.0426%
(両方とも国・地方の合計であり、個人はさらに社会保険料が別にかかる)
 
例えば社長の給料が年間で500万の時、利益が300万出る会社で、社長の賞与を100万とるとしましょう。(会社の利益が200万に下がる)
この時の法人税は賞与の分100万×22.464%=224,640円安くなります。
しかし、個人の税金は100万×20.21%=202,100円高くなります。(扶養家族2人で計算しています)
2万ちょっとの節税額ですが、社会保険料が別にかかれば、逆に個人の負担が多くなってしまいます。
 
このように法人所得が400万円以下で、社長が賞与をとって600万の収入以下の場合が、かろうじて節税になるかも、ということです。(人によって扶養などの控除が違うので、注意が必要です)
 
正直あまり大した節税額にならない割に、面倒くさく、リスクもあるため、実際にはほとんどこの制度は使われていないようです。
 
それにしても、法人税率が以前よりずいぶん安いので、役員報酬で取るよりも、会社利益を残し、法人税を払い、会社に留保するというやり方も考慮すべきです。
 

2019年4月号

税理士 白井 清一
如月 

 いよいよ桜も散って、いよいよ「卯の花の咲く」と言われる4月です。
この卯月は「乏月」とも言われ、昨年収穫した米などの穀物を食い尽し、いよいよ新たな耕作を始めなければならい時期と言う意味もあるそうです。
 この卯月には、入学式、入社式などが行われ、更には、諸々の事柄や規制などが我々に押し寄せてきます。
 この話を書いている時にはまだ不明ですが、4月1日には新たな元号が発表されて皆様方には慌ただしく改元の準備をしておられることと思います。
また、中小企業を取り巻く環境もこの4月からはいろいろな面で対応を迫られるものがあります。
 その中でも影響の大きなものとして政府の推進する「働き方改革」があります。詳細については専門外ですが、罰則を伴う労働基準法の改正の中で特に我々中小・零細企業に直接影響があるものとして労働時間に関する改正があります。
 その一つが「時間外労働の上限規制」つまり、残業時間を制限しようというもので、原則月45時間、年で360時間を超えてはならないというものです。
 もっとも、中小企業に対する残業規制の適用は来年からと言う事で、一年の猶予があるとの事です。
 もう一つが社員・従業員の有給休暇の取得の励行です。年10日以上の有給休暇が付与されている社員・従業員に対し年間5日の有給休暇を確実に取得させなければならないというものです。
 経営者としては社員に休暇を取得させ、残業も減らしたいと思ってもこの人手不足の折、また、賃金コストの面などから余剰人員を抱えられるわけでなく、誰かが休むとその穴埋めを他の人が被らざるを得ず、これがまた残業につながり規制を受けるという悪循環に陥ることにもなりかねません。それでも目標が達成できないとペナルティを課すという厳しいものです。
 消費税も、経過措置の期限である3月31日の指定期日が過ぎて、10月からの原則10%、食料品等については8%という二重税率に向けての本格的な事務作業が現実のものとなってきました。

税理士 中山 吉晴
消費税は今から対応しないと間に合いません?
 

皆様ご承知のとおり、今年10月から消費税が改正(悪)されます。
8%の税率が10%になる。
②食料品(酒類を除く)の販売、レストランの出前などは8%の軽減税率となる。
③定期購読・週2回以上発行される新聞も8%の税率となる。
(以前は2回流れましたが、今回はどうも、実施しそうな感じですね)
 
皆様に大きく影響することをお伝えします。
①レジの改修、または買い替え(補助金があります)
複数税率に対応できるか?をメーカー等に確認してください。
(最低でも税率を10%に変更できなければなりません)
補助金の条件は次の通りです
・軽減税率の対象商品の販売を行っている中小の小売事業者であること
2019930日までに導入・改修・支払いを完了すること
20191216日までに補助金申請をすること
対象となるのはレジ、券売機1台あたり20万円までを上限とする
商品マスタの設定等が必要な場合にはプラス20万円で上限40万円
1事業者あたり上限200万円
 
②請求書等の記載事項の追加(請求書管理システムの改修等)
事業者は消費税を納めるときに、自分が払った消費税(仕入れや経費にかかる消費税)を控除できますが、この控除の条件として、請求書の保存が必要です。
その請求書に、10月からは次の事項を記載することが必要となります。
(仕入れ先の請求書にこの記載がないと、支払った消費税が控除できないことになります)
・軽減税率(8%)対象取引である場合はその旨
・税率ごとに合計した取引金額
(請求書に8%対象の合計金額と10%対象の合計金額の記載が必要です)
皆様の会社でも、この記載をした請求書を発行しないと、お客様からクレームがくるかもしれません。
 
請求書管理システムの改修等をした場合の補助金
補助金の条件は次の通りです。
・請求書管理システムの改修等を行う必要のある中小の卸売または製造事業者であること
2019930日までに改修を完了すること
・ベンダー等の代理申請のみ受け付け
補助率 原則かかった費用の3/4
1事業者あたり上限150万円
 
メーカーやベンダーは10月近くになると、受注が多すぎて対応できなくなると思います。
今の内によくご確認下さい。

2019年3月号

税理士 白井 清一
確定申告
 

 所得税の確定申告期限が近付いてまいりました。毎年のことですが税理士事務所にとっては、この時期が一年の中で事務が最も輻輳(ふくそう)し、職員は毎日夜遅くまで、また、休日も返上で仕事をしております。
 これを聞くと、「なんだ!MBC合同会計はブラック企業か?」と言う事になりますが、職員一同お客さんのために頑張っております。
この確定申告も、制度の創設以来70年以上を経過し申告手続きも様変わりしてきました。
 昔は、算盤を片手に決算書・申告書などすべて手書きで作成し、お客さんのハンコを貰い、出来上がった申告書を束にして税務署に提出に行ったものです。
いまや「電子申告」の時代となり、紙の申告書で提出するのは電子申告になじまない少数のものだけになりました。
 紙の申告書が全盛のころは、コンピュータに入力するために申告書から人の手で入力してデータを作成していました。
この入力作業を国税庁のコンピュータセンターで行うわけですが、広い部屋にキーパンチャーの女性が何十人といまして、キーを叩く音があたかも急流のように「ザー」と聞こえました。
 コンピュータの進歩は目覚ましく、今や納税者や私ども税理士がインターネットを使い直接国税庁のコンピュータにデータを入力しています。
昔は、暮れのうちに決算書の用紙が送られて、年明けには申告書の用紙が送られてきましたが、今は電子申告と言う事で用紙も同封されていた説明書なども紙では送られてこなくなりました。
 これらの用紙類の印刷費や発送のための費用、また、データ入力のための費用など膨大な徴税コストが削減されたと考えられます。
 国税庁が民間企業であればコストが下がったのですから、ユーザー(納税者)にその一部でも還元されるのでしょうが、徴税コストが下がったことによる減税や見返りは無いように思います。
 その分は、「増税しないで済んだと思いなさい!」というところでしょうか。

税理士 中山 吉晴
商売を図る係数とは?
 

商売は同じことをやっていると、必ず縮小していきます。
なぜなら、ライバルが安売りをし、誰かがもっといい商品、もっといいサービスを開発し、大手の会社がニッチな市場に参入する、その他その他、だからです。
 
売上や利益が減る要素は世の中にいくらでもあるのに、増える要素はほとんどなく、その要素に気づくのはとても難しいことです。 ですから、放っておけば売上・利益は必ず減るのです。
 
まずは現状をどう変えれば売上が増えるか、利益が増えるかを考えるしかありません。
しかし、それでいいアイディアが浮かんだとしても、うまくいくかどうかは分かりません。
ただ、やらなければうまくいくかどうかも判断できませんので、「やる」ことが重要です。
それが成功なのか失敗なのかは、損益計算書では大づかみにしか分かりませんし、しかも遅いです。
 
これをタイムリーに、現場で分かるようにするのが「トリガー係数」と「ターゲット係数」です。
トリガーが引き金(原因)で、ターゲット(目標)は結果です。
ヤマト運輸のケースで説明しましょう。
 
ヤマトの利益を圧迫しているのは、再配達の多さです。 これを減らせないか、が計画の目的です。
そこでクロネコメンバーズという会員制サービスで、再配達を減らせないかと考えました。
メンバーは自分の受け取り場所(コンビニや駅ロッカーなど)や時間を指定できるため、便利です。
これを積極的に利用してもらえば、再配達は減るはずです。
 
目的達成のためには、メンバーを増やすことがまず必要で、メンバー数が「トリガー係数」です。
さらに、受け取り可能なコンビニ数や駅ロッカーの数なども「トリガー係数」です。
コンビニ、ロッカーでの受け取り数(の増加)、再配達数(の減少)がターゲット係数になります。
結果として、配達生産性(トラック1台当たりの荷物数)が上がるかが、最終のターゲット係数です。
 
メンバー数(トリガー)が増えたのに、配達生産性(ターゲット)が上がらなければ、この計画は失敗です。
計画を修正するか、やめて他の計画を考えるかを、しなければなりません。
こういう数字ならば、現場でカウントでき、週1回など短い期間でチェックすることができます。
 
計画は仮定ですので、うまくいったかどうかをなるべくタイムリーに確認できないと、手遅れになります。
皆さんの「トリガー係数」と「ターゲット係数」は何でしょうか?

2019年2月号

税理士 白井 清一
今年の税金
 

 ご承知の通り、10月1日から消費税が複数税率となり税率が10%と8%になります。
 この8%の軽減税率の対象となるものは、原則的には食料品となりますが、巷で騒がれているようにその処理事務については相当な事務量と労力が必要になると思われます。
特に自分の会社や店舗で一般の物品販売と食料品などを扱っている場合、また、飲食料品店等で、お客さんが店舗内で食べる場合と持ち帰る場合がある店などは税率別に集計できて軽減税率の表示ができるレジなどを急いで準備する必要があります。
 また、会社で食料品など8%のものを買ったときは、その内容が分かるように帳簿等の記帳をして税率の表示がされた領収書の保存も必要になります。
 また10%の税率は軽減税率適用以外のすべての取引に適用されるわけですが、これにも前回の消費税の増税の時と同様の経過措置があります。
 工事契約や店舗・倉庫などの賃貸借契約で一定の条件のものについて、この3月31日までに契約がされたものについて現行の税率である8%が適用されます。
 但し、工事を請け負う側としては売り上げの消費税は8%で、下請けに支払う外注費などは10月以降の分について10%となるため有利になるとは限りません。
 消費税が10%に上がることをお客さんが意識し増税前に契約しようとすることにより、契約が早めにとれるということが有利に働くと言う事だと思います。
 また、倉庫・店舗の賃貸借契約についても契約の中で賃料の変更ができないことが明らかである場合などの条件があるため、疑わしいものについては契約の内容について事前に相談をして頂きたいと思います。
 更に、今年も確定申告の時期が参りましたが今年の申告から配偶者控除については、配偶者の所得が38万円以下であっても自分の所得の合計が1千万円を超えると配偶者控除ができなくなりましたので、ご自分で確定申告をされる方は十分注意していただきたいと思います。

税理士 中山 吉晴
会社規模で利益の性質が変わる?
 

当事務所では、お客様(法人)のうち、何%の会社が利益で、何%が赤字かを集計しています。 
去年は次のような結果でした。

会社規模で利益の性質が変わる?
 

やはり、1千万円以上の利益を出すのはかなり難しく、上位13%の会社しかありませんでした。
(もちろん、年によって変わりますが、毎年おおむねこのくらいの割合です)
毎年このくらいの利益を出す会社には、銀行が金利を安くするから、お金を借りてくれ、と言ってきます。
こういう時に、 担保を外せとか、保証人を外せとか、交渉するといいです。
金融庁の銀行への指導は、なるべく無担保、無保証人で融資しろですから、成功する可能性はあります。
(極端なケースでは、社長まで連帯保証人から外すケースもあります)
 
黒字で、最も多いのが百万から5百万の利益の会社です。
銀行からすると、可も不可もない会社、目立たない会社ということです。
ですから、このクラスの会社は無理な節税などせずに、利益を1千万円に持ち上げることを考えるべきです。
(社会保険に加入したり、奥さんの給料を適切な金額に上げたり、やって当たり前のことはやるべきです)
そして、銀行の信用を得て、事業展開を考えるべきです。
 
百万円以下の黒字会社は14%でした。
会社評価の上では、赤字とは天と地の差があります。
しかし、銀行からすると、赤字予備軍という見方をされる会社もあります。
何にしても返済原資がほとんど無い会社、と見られることは確実です。
 
36 %の会社は、残念ながら赤字でした。
赤字の会社は以前はもっと多かったです。
(世の中全体だと70%赤字といいますが、銀行で借り入れをするくらいの会社ですと、この位の割合でしょう)
同じ赤字でも、許せる赤字と、そうでない赤字があります。
たとえば、設定を間違えて役員報酬を取りすぎた場合や、特別損失で赤字などの場合は翌年黒字にできる
ため、許せる赤字です。
しかし、役員報酬もぎりぎりまで下げ、赤字が構造的に常態化しているような会社は、深刻です。
とにかく銀行の評価を良くするには、赤字の連続はだめです。
 
会社が小さい時の利益は生活費とイコールで、税金は文字通り、身を切るような痛みです。
この段階は、会社とはいえ、実態は、生業です。
これが次の段階にくると、 家業的段階で、利益は親族で分配したり、貯蓄したり、となります。
2千万以上の利益の会社になってくると、そろそろ組織体になり、企業に近づきます。
家業的企業であり、利益は投資(機械や人、広告など)のための財源になります。

2019年1月号

税理士 白井 清一
正月のたわ言
 

新年あけましておめでとうございます。
今年は皆様方にとって良い年となるよう、MBC職員一同心よりお祈りいたします。
今年は特別な年で、平成も残すところ数か月で元号が変更になるとの事ですので、よりせわしない年になりそうです。
年明けには 各所の寺で除夜の鐘が鳴りましたが、その中に「日産の鐘」と言うのがあって、叩くと「ゴーン」と鳴るそうです。
この「日産事件」についての真相は我々など知る由もありませんが、税理士の立場から勘ぐれば、数十億円と言う高額な役員報酬が法人税の申告の中で損金性がどこまで認められるのか、また、事前に将来の報酬が確定していた部分の課税は済んでいるのか、更には、海外にある家や家族旅行の費用など我々が日々税務調査で指摘されるような事柄について適切に課税されているのか、これらの課税関係について特別扱いすることなく国税当局にも頑張って頂き我々に対するのと同様に厳格な課税をすべきだ、などと正月明けの寝言を言うのは私だけでしょうか。
 例年のごとく、暮れに政府与党の平成31年度の税制改正大綱が発表されました。法人税や所得税に関する根幹的な改正は見当たりませんでしたが細かい手直し(増税)について具体的に対応が必要なものについては折に触れてお知らせしていきたいと思います。
今年の最大の関心ごとは、やはり10月からの消費税の増税だと思います。
暮れに今年度の国家予算の概要が発表されましたが、ついに101兆円を超えました。
この中には消費税の増税に伴う景気対策のための予算が2兆円余り含まれているとの事です。しかもこれらの対策は受ける国民側にとって複雑なものになるとの事で、いったい何のための消費税増税なのか疑問に思います。
正月早々黄昏税理士のたわ言になってしまいましたが、MBCの職員一同皆様のお役に立てるように頑張りますのでよろしくお願い申し上げます。

税理士 中山 吉晴
どんな業種でも使えるスーパー経営指標
 

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
経営状態を測る指標はたくさんあり、何を知りたいかによって使い分けが必要です。
また、業種によって有効な指標は違います。
そんな中で「活動生産性」は、どんな業種でも、規模の大小にかかわらず使える貴重な指標です。

活動生産性
 

限界利益とは売上から変動費(仕入外注費などの絶対必要な原価)を引いた、残りの利益です。
固定費は給与や家賃、広告費その他、変動費以外の全ての費用をいいます。
企業活動は仕入(変動費)から始まり、次にこれを売ることで、最初の利益がもたらされます。
(この利益金額以上の利益はあり得ないので限界利益といいます)
企業が活動をすれば売上の大小に関係なく経費(固定費)がかかります。
つまり限界利益が生産性を表わし、固定費は活動の大きさを表わすわけです。
活動生産性の改善は、①限界利益を増やす ②固定費を減らす ③両方増やす などの方法があります。
②は、明確に無駄な費用以外削ることは、活動を小さくすることになってしまうので、あまり良策とは言えません。 ただ、 給与(経費)を変えずに効率を上げられないか等は、考えるべきです。
次に①の場合、売上を増やせればいいのですが、簡単にそれができれば苦労はしません。
せめて、仕入れ、外注費の見直しをするぐらいになります。(3~5年に1回位はやるべきです)  
実際には③の両方増やすを、考えることになります。
たとえば、広告費を増やせば、売上が増えないか? 家賃(支店)を増やせば? 支払利息を増やせば(新規に借り入れれば)、給与(人員)を増やせば、などいろいろ考えられます。
戦略を考えるとは、こうすれば売上が(利益が)増えるのでは?という仮定を考えることです。
その仮定にそって活動すると、どんな経費が必要か、どのくらいの売上や利益が見込めるか推定するものが、経営計画書であり、活動生産性を良くすることです。
一年の計は元旦にあり  今年もがんばりましょう!