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MBC合同会計ニュース

2022年8月号

白井清一
税理士 白井 清一
住宅取得資金の贈与特例の注意点(1)  

  住宅取得資金贈与の特例をはじめ、いくつかの特例制度がありますが、これらの適用を受けるメリットは何でしょうか。贈与を受ける側の税負担が軽減されることは勿論ですが、相続税の計算に与える影響にも大きなものが有ります。
 
一般的には、相続開始以前3年内に行った贈与については、その贈与を持ち戻して相続税の計算に組み込まれます。
  しかしながら、これらの贈与税の特例は、この持ち戻し計算の対象になりません。その結果、特例対象金額については贈与税も相続税も課税されないこととなります。
 
  また、住宅取得資金贈与の特例限度額の1,000万円、又は、500万円を贈与する場合に、通常の贈与税の110万円の基礎控除額を併用できるので、1,110万円か610万円がそれぞれその年の贈与税の非課税限度額となります。但し、この110万円部分は相続開始前3年以内の持ち戻し計算の対象になります。
 
  このような、効果のある贈与税の特例ですが、この特例を受けるためには、注意しなければならない事柄が多くあります。今までに、相談を受けた事例などで特に気になった事柄をお話したいと思います。
 
<家屋についての注意>
〇 取得する家屋は、自分が実際に住むための家屋です。
 妻が土地を取得し、その土地に夫が家を建てて二人が居住しても妻は居住用家屋を取得していないので特例の適用は受ける事が出来ません。
 家を新築するにあたり土地を取得する場合でも、必ず、家屋を共有でも良いので取得しなければなりません。家の新築にあたり土地も取得する場合は特に注意が必要です。
 
〇 取得する家屋の床面積など
 取得する住宅用家屋の登記簿上の床面積(マンションなどは専有部分の床面積)が40㎡以上240㎡以下であること。
 
また、店舗併用住宅など居住用以外の部分がある場合には、その家屋の総床面積の2分の1以上が贈与を受けた人の居住用であることが必要です。

中山吉晴
税理士 中山 吉晴
住宅の購入に関する税の改正

 令和4年の税法の改正はあまり目玉がないといわれていますが、住宅の購入に関連して、次のような改正がありました。
 
住宅ローン控除の改正
1.自己資金があっても借りた方が得?
住宅ローン控除は借り入れ残高×1%が10年間(一定の場合13年間)控除される制度でしたが、これが令和4年から借り入れ残高×0.7%で13年に改正されました。
(令和6年からは13年が10年間に繰り下げ)
現在住宅ローンの金利は0.5%程度が多いと思います。(変動金利の場合)
つまり金利よりも控除税額の方が多い(得になる)ことがあり得るわけです。
2.分譲住宅の場合令和3年11月(注文住宅の場合9月)までに契約は有利
上記の期間までに契約を結んで、令和4年中に居住した場合(消費税10%が条件)
最初の10年間は1%、その後の3年間は特例計算が控除できる(コロナ特例)
(上記1の令和4年規定と選択)
3.令和6年から一般住宅は建てられない
住宅ローン控除は一般住宅よりも、耐震・省エネなどの住宅が有利になっています。
当然、一般住宅の方が建築価格が安いので、控除が少なくても、全体の金額は安くすみます。
ところが、令和6年から、一般住宅は、建築許可がおりなくなるそうです。
ですから、安い住宅を建てられるのは令和5年までとなるわけです。
4.多額の退職金をもらった年は住宅ローン控除はできないかも?
住宅ローン控除は合計所得金額2000万円以下(令和4年から)でないとできませんので、退職金を多額にもらった年はできない場合があります。(翌年はできます)
 
住宅取得資金贈与の改正
直系尊属から贈与を受けて住宅を取得する場合の贈与税の非課税規定が変更されます。
・耐震・省エネ・バリアフリーの非課税限度額=1000万円
・一般住宅の非課税限度額=500万円
(令和4年1月1日以後の贈与に適用されます)
もしも現在の家を取り壊し、5000万円の2世帯住宅を新築する場合、次のようなことができます。父から子に1000万円贈与(非課税)して建築費支払い
子が住宅ローン2000万を借りて、建築費支払い(住宅ローン控除)配偶者に2000万円贈与(非課税)して建築費支払い
5000万円の建物には親夫婦と子が住み、所有は子が3/5、配偶者が2/5となります。
上記の解説はポイントだけを書きましたので、実際には他の条件があります。
実行するときには担当者に確認してください。

2022年7月号

白井清一
税理士 白井 清一
子や孫への住宅取得資金の贈与  

 子や孫への住宅取得資金の贈与税特例について、今までの制度は昨年末で期限が終了し、今年の税制改正で新たに令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、自分の父母や祖父母から自己の居住用家屋を取得するための資金の贈与を受けた場合には、特例限度額までについて贈与税が課税されないという、以前と同様な内容で継続されることとなりました。
 
 適用手続きなどについては、以前と同様ですが対象家屋や適用限度額が整理縮小されましたので、改めて、この制度の概要をお話したいと思います。
 
<特例限度額>
取得する居住用家屋が「省エネ等住宅」である場合は1,000万円、「省エネ等住宅以外」の場合は500万円とされました。
 
<特例を受けられる人>
自分の父母若しくは祖父母からの贈与に限られます。また、贈与の時に成年(令和4年4月1日からは18歳)に達している必要があります。
<取得する家屋>
贈与を受けた子や孫自身が居住する家屋です。新築の場合はもちろん、建売住宅やマンションの購入などが対象になります。また、新築物件だけでなく一定の条件を満たす中古物件や増改築なども対象になります。
 特例限度額が1,000万円となる「省エネ等住宅」とは次のような性能や機能を備えたものです。
①断熱等性能等級もしくはエネルギー消費量等級が4以上であること。
②耐震等級2以上もしくは免振建築物であること。
③高齢者等配慮対策等級3以上であること。
 
 内容は専門的で難解ですが、実際に贈与税の特例を受けるためには、これらの住宅に該当する旨の「住宅性能証明書」「住宅省エネルギー性能証明書」など6種類の証明書の内1種類を贈与税の申告書に添付する必要があります。
 
 取得する家屋が省エネ等住宅に該当するかどうか、また、的確な証明書が発行されるのかを事前に建築業者などに確認しておく必要があります。

中山吉晴
税理士 中山 吉晴
経営理念は必要?

よく会社経営には経営理念が必用不可欠、と言われますが、本当でしょうか?
別にそんなもの無くても、ちゃんとやっているよ、と思っている経営者の方も多いのでは?
特に創業直後の経営者などは、「理念じゃ飯食えない!」ごもっともです。
最初は余裕もなく、がむしゃらに働かざるを得ず、理念どころではないです。
また、小人数の会社は、社長の生き様が経営理念とも言え、必要ないかもしれません。
ただ、そのまま何年たっても、忙しいばかりで利益も出ず、年をとって立ち行かなくなる経営者がかなり多いのも事実です。
利益が500万円もでると、税金が高くて困ったという社長が、けっこういます。
実はこれは、利益が出ることに慣れていないだけなのです。
毎年1000万円、1億円利益が出ている会社は、税金が高いのはいやだが、利益が減るのはもっといやだと思っています。
この利益が出る会社と出ない会社の差は、どこにあるのでしょうか?運だけではありません。
たくさん儲かるビジネスモデルを考えて、実行して、結果を見直して、再計画するのが利益が出る会社。
そもそもビジネスモデルが無いか、利益があまりでないビジネスモデルを実行し、見直しもしない会社が利益が出ない会社です。
(そういう会社の社長は、不都合な現実(耳に痛い事実)から目をそらしがちな方が多いようです。)
実は、たくさん儲かるビジネスモデルを計画するにも、実行するのにも経営理念が必要なのです。
売上は顧客からの人気投票です。
人気があれば大量に売れ、高い商品でも人気があれば売れます。
この人気を得るための仕組み、コンセプトを考えるのに、理念がなければ、薄っぺらい仕組みに終わり、人の心をとらえるコンセプトにたどりつけないと思います。
逆に、人の心をとらえるコンセプトにたどり着いたとき、自分がやるべき使命、理念に気付くのかもしれません。
運がいいとすれば、使命に、理念に気づけたことが一番の幸運でしょう。計画ができ、実行するときに理念があると無いとでは、社員の働き方に大きな違いが出ます。
社員は誇りを持って仕事をしたいのです。誇りを生み出すのが理念です。
利益は計画して出す。
計画には理念が必要。
私が40年会計事務所をやってきて、毎年多額の利益が出る会社は、そういう会社だと思います。

2022年6月号

白井清一
税理士 白井 清一
市区町村の税務署への通知 

 親や祖父母などが亡くなった時に、税務署から相続税についての申告案内やお尋ねが来たことを経験した人も居られるかもしれません。
 
 税務署に届けを出したわけでもないのに、亡くなったことをどうして知る事が出来るのか疑問に思ったことは有りませんか。
 
 それは、戸籍事務を扱う市区町村が死亡届を遺族から受け取った後、翌月末までに相続税法の定めに従って税務署に通知しているからです。
 
 この通知は死亡届が提出された人について、遺族などから提出された死亡届に記載されている内容を基にして通知しますが、この通知ではその人の財産の所有状況などは分かりません。
 
 税務署はこの通知を受けたら、年齢や職業などから一定の人を抽出し、税務署の職員が市区町村に出かけて固定資産税台帳と照合して不動産の所有状況を調査の上、相続税の申告が必要そうな人に申告の案内や相続税についてのお尋ねを発送しています。
 
 この通知について令和4年の相続税法の改正の一つとして、遺族などから死亡届を受けた市区町村は、今までの通知内容に加えて固定資産税台帳に記載されている不動産の所有状況についても併せて通知することになります。
 
 不動産の所有状況を併せて通知する実施時期については、関係する戸籍法の改正を待ってと言う事ですので少し先になりそうです。
 
 今やIT時代ですので、すでに電子化された固定資産税台帳と戸籍事務を結合することにより、税務署の職員が出向くことなく死亡した人の不動産情報が効率よく収集できることとなり税務行政の効率化が図られます。
 
 この通知制度の改正と相まって前回お話した登記所における所有不動産記録証明制度を併せることにより、税務署は国内にある不動産のすべてを把握できる状況になります。
 
 将来、預金や株などの金融資産がマイナンバーを基に名寄せがされることにより、全ての財産が行政により把握されるようになり、将来、相続税の申告は不要になる時が来るかもしれません。

中山吉晴
税理士 中山 吉晴
生命保険あれこれ

生命保険。
使い方によってはとても役立ちますが、無用の長物になっている場合も見受けられます。今回はその注意ポイントをいくつかお伝えしましょう。
 
1.生命保険ってなんで必要?(医療保険を除きます)
①家族の内の稼ぎ手が亡くなった場合に、残された家族の生活や学費に備えてかける。
②借金をしてる人が、返済途中に死亡した場合に残債を払うためにかける。
③相続税や葬儀費用など、死亡後の多額の支出に備えるためにかける。
個人の場合はだいたいこんな理由で保険に加入し、法人の場合も①は社長の死亡、
③は退職金の支出に備えて、に理由を変えれば、当てはまります。
①の理由に当てはめると、稼ぎ手ではない子供に保険をかける必要はありません。(学資保険は③の理由の変形です)
 
2.保険の種類を理解して安い保険で十分な保障を
例えば、30才の人が子供のために保険に入るならば、一生ではなく60才までの保障でいいと思います。(その頃には子供も30歳を超え、親のすねかじりでは無いはずですから)
この場合、補償額は一定金額ではなく、(60才-死亡時の年齢)×一定額という保険に加入すると、保険料が1/2になります。(徐々に保障額が小さくなるため)この保険の考え方は②の場合にも借入残が減るのに保障額をあわせれば、保険料が安く済みます。
③の場合は一生保障が続かないとなりませんので、定期保険ではなく、終身保険が適切になります。ただ、終身保険は保険料が高いので、葬儀費用に備える程度に留めるのが一般的でしょう。
 
3.会社で経費(損金)になる保険
支払ったとき保険料全額が一括で損金になるのは、定期保険です。前払いでも1年分であれば全額損金になりますが、もしも13ヶ月分を前払いした場合は、1ヶ月分しか損金にならず、のこり12ヶ月分は前払費用という資産になってしまうので要注意です。養老保険などは払ったうち1/2とか1/3とかは損金になりますが、残りは資産の扱いです。いろいろ種類はありますが、どんな保険でも、受取人が会社でないと損金にはなりません。
例えば、社長を被保険者にして、受取人を社長の配偶者にした場合、その保険料は社長に対する給与とみなされ、社長個人に税金がかかります
ただ、特定の人ではなく、社員全員に一律にかける定期保険には、例外的に給与にされないものもありますので、保険会社の方によく確認してください。
 
保険はかけ方によっては大変役に立つものです。
保険会社の方によく確認して、目的と保険の内容を合わせて、加入してください。

2022年5月号

白井清一
税理士 白井 清一
所有不動産記録証明

 今まで何回か「所有者不明土地」に関するお話をしましたが、その発生原因の多くが相続登記をしないことにあると言われています。
 
 この相続登記を所有者の任意の登記から、登記未了者に対して罰則を設けて登記を促そうという、いわば任意制度から義務制度に大きく転換がされます。
 
 この相続登記を促進させる方策の一つとして「所有不動産記録証明」制度が始まります。
 
 どのような制度かと言うと、相続人などが登記所に手数料を納付して被相続人の所有不動産記録証明書の交付を受ける事が出来るようになります。
 
 今までは、被相続人の所有不動産については市役所などで固定資産税の課税通知書の明細や名寄帳で確認していましたが、固定資産税の課税台帳を基にしたものでは、その自治体にある不動産しか分かりませんでした。
 
 これが、登記さえしてあれば登記所で全国どこにある不動産でも確認する事が出来るようになると言う事です。
 
 「確か、親父が昔どこかの土地を買ったと言ってたよな!」などという時には、登記さえしてあれば、全国どこにあっても分かると言う事です。
また、調べた結果、登記が無い場合にも「記録がない旨の証明書」が発行されるようになります。
 
 この所有不動産証明書はだれが取得することが出来るのでしょうか、誰でも取れると言う事になると個人情報の観点から問題となりますので、その不動産の所有者やその相続人などに限られます。
 
 所有者や相続人が取得できると言う事は税務署も取得できるはずです。こうなると、相続税の申告の時、地方にあって固定資産税の免税点以下の不動産で、固定資産税の通知も来ない不動産や、この土地は遠くにあるので税務署にはわからないだろうと思って申告しないものなども税務署に把握されて、相続税の税務調査につながるなどと言う事にもなりかねません。
 
 更に、登記の名義人が死亡した場合などは、登記所が戸籍の情報を基に登記の名義人が死亡したことを登記に表示するようにもなります。

中山吉晴
税理士 中山 吉晴
税務調査が再開されています

ここ2年、さすがの税務署も、実地の税務調査はほとんど行っていなかったようです。
しかし蔓延防止も解除され、久しぶりに実地調査がありました。
ここ2年で会社も、私たち税理士も、油断して経理基準がゆるんでいますので気を引き締めなおしましょう。
 
1.証拠資料は保管を
 資料の保管など当たり前のことですが、意外にいい加減だったりしますので、改めてご注意を。
証拠資料とは、領収書、請求書、注文書、見積書、契約書、発注書、注文請書、レシートなど。
さらにそれを補完する役目の帳簿等も保管が必要です。
受注簿、日報、売掛け帳、買掛け帳、コンピュータのメールやラインのデータなどです。
電子帳簿保存法が始まると、電子取引(クレジット取引やアマゾンでの購入など)については取引データをPDFに取り込んで年月、相手先名などの検索条件を付けて保存することが義務付けられます。
大変ですが、全て取っておく必要があります。(7年間保管です)
領収証だけあればいいだろう、という社長がたまにいますが、それだけでは不足です。
特に、金額が大きいのに請求書が無く領収書しかない場合は、不審な取引と疑われます。
先日の実地調査でなるほどと思ったのは、手書きの請求書は疑われる、ということです。
若い調査官は、まともな会社なら手書きの請求書など発行しないと思っています。今どきはそうかと、私もハッとさせられました。
 
2.個人の費用を会社で払っていないか
 当たり前のことですが、会社で払えるのは会社の事業に関する費用だけです。
個人の支出を会社の費用として経理し、これが税務署に発見されると大変な課税になります。(会社に課税されるのはもちろん、社長個人にも課税され、罰金もかかるため、70~80%も課税されてしまいます)
ですから、飲食代、ゴルフ、贈答品などは、必ず接待の相手先名を記入することが必要です。自動車なども、会社に関係ない家族が専属で乗っているものは会社費用にはなりません。(先日、上場会社の社長がこれらをやり、横領の罪に問われていました。)
 
3.決算賞与を未払計上する場合
 決算の締め月までに、各人ごとに賞与の支給額を通知し、その翌月の内に支給することが条件です。
この通知が間に合わないとアウトです。
 
ほかにもたくさんありますが、特に基本的なところを記載しました。
疑問点などがありましたら、担当者にお聞きください。

2022年4月号

白井清一
税理士 白井 清一
成年年齢

 この4月1日から成人とされる年齢が18歳となりました。
つまり、法律的には、18歳で一人前の社会人として権利と義務を負うことになります。
 
 18歳で未成年者で無くなることから親の監護権に服することなく、単独で法律行為をすることができるようになるため、親権者による契約の取消権も無くなります。
 
 学生アルバイトを雇用していた店などが、アルバイトの契約で親権者との間でトラブルになった事もあるでしょうが、18歳以上であれば当事者同士として解決するようになります。
 
  
但し、喫煙、飲酒、賭博などについては、「20歳未満は禁止する」という法律で構成されており、18歳となってもこれまで通り禁止されます。心身に与える影響を考えれば当然のことと思います。
 
 この成年年齢の引き下げに合わせて、少年法の改正も行われ、また、刑法の改正も検討されているようです。このように18歳が成年年齢とされることにより18歳19歳の若者にとっては権利や義務に大きな変化があり戸惑うことも有るのではないかと思います。
 
 税金の世界に於いては、未成年者であるか否かにより適用が異なる事柄は少ないのですが、相続税や贈与税に於いて成年年齢が18歳になると言う事でいくつか適用される年齢が変更されるものが有ります。
 
 20歳以上で適用されていたが18歳から適用できるもの
〇 相続時精算課税 〇 住宅資金の贈与 〇 結婚・子育て資金の贈与
〇 暦年課税における贈与税の優遇税率の適用など
 
 逆に、相続税の未成年者控除は18歳から適用が出来なくなります。
 
 また、相続については、多くの人が必ず経なければならない手続きとして、遺産分割協議があります。しかしながら、未成年者はこの協議に参加できず裁判所に未成年者の特別代理人を選任してもらう必要があります。この手続きが遺産分割協議を行う時に満18歳になっていれば不要となり本人が遺産分割協議に参加できるようになります。

中山吉晴
税理士 中山 吉晴
MBCはフードドライブを支援しています

皆さんは「フードドライブ」という活動をご存じでしょうか?
「フードドライブ」とは、家庭で余った食料品などを学校や職場などに集約して、これをフードバンク、慈善団体などに寄付する活動をいいます。(SDGsにも関連します)
 
日本も昭和の頃は一億総中流などといって、貧困は撲滅されたかのようでしたが(実際は当然そんなことはありませんでしたが)、昭和が終わって  早40年近く、令和の時代になると、そんな日本は様変わりしてしまいました。
 
年収500~900万円の中流世帯は減り、200~300、300~400万円の世帯数が2000年から50%も増加しているそうです。
また、ひとり親世帯は平成5年94.7万世帯だったものが、平成15年に139.9万世帯に増加し、その後はほぼ横ばいとのことですが、人口減少・子供減少の日本で横ばいとは、実質増加ということです。
この意味するところは、ひとり親で低所得の家庭の子供が増えており食事、教育などの基本的人権に関わる生活さえ満足ではない子供が、増えているということです。
 
こういった社会的背景で、15年くらい前から、子供食堂、学習支援、居場所支援などの子供の生活支援が注目されてきました(もっとずっと前から活動はありますが)。
ボランティアから始まり、相模原市の予算も増えましたが、今でも子供食堂が相模原全域でたった34件、しかもコロナ以後半分以上が閉鎖になっているようです。
 
これらの施設に食料品や文具、おもちゃなどを寄付する手助けが、フードドライブです。
 
相模原市農協で3月からこの活動をはじめ、MBCではそれを支援し、すでに4回ほど農協に食品等をお届けし、農協でとりまとめて寄付を実行しました。
 
相模原市農協中央支店(本店1階)で寄付を受け付けています
受付時間は(平日)9時~15時です。
未開封、常温保存可能な賞味期限2ヶ月以上の食品、食材など(たとえばレトルト食品、調味料、ドリンク、カップ麺など)、未使用の日用品、文具、おもちゃ、タオル、服、靴、生理用品など
 
こういうことって、気になっていてもなかなか実行に移せないものだと思います。
反対給付はありませんが、子供の健全な生活を少しでも支援するために、皆さんもいかがですか?
そういった物がおうちや会社にありましたら、農協中央支店、あるいはMBCにお持ちいただければまとめて農協へ届けます。
事務所正面に置いてある段ボール箱は、そのためのものです。一声おかけください。

2022年3月号

白井清一
税理士 白井 清一
今年の税制改正

 この時期、3月の15日までに、全国で2千2百40万人ほどの人が所得税の確定申告をするという大イベントの中でMBCの職員一同コロナにも負けず日夜奮闘しております。
 
 今年度の税制改正について昨年末の税制改正大綱に基づき、今国会で審議されていますが、この内容の一部についてお話をしたいと思います。
 
 その一つは、贈与税についてです。贈与税の制度については昨年及び二年前の税制改正大綱でも議題に取り上げられており、週刊誌やマスコミなどで今までの贈与税の課税制度が変更されるという話が盛んにおこなわれていました。
 
 しかしながら、今年度の税制改正大綱に於いても過去二回の大綱と同様に「今後も検討を継続する。」という内容に終わり、今年度においての税法改正は行わないとされています。
 
 したがいまして、贈与税の扱いについては、少なくとも今年一年の間は今まで通りとされるようです。
 
 税制改正大綱で贈与税が議論される意図は、贈与をした人の相続に於いて、その人が生前に贈与をしてもしなくとも相続税に影響が出ないようにするというもので、生前に贈与をしても相続税の節税対策にはなりませんよと言う事です。
 
 この贈与税の課税制度の見直しについて三年連続で触れると言う事は、やはり近いうちに大きな税制の見直しがされると考えた方が良さそうです。
 
 贈与税の特例制度の中で、昨年末で期限の切れた親や祖父母からの住宅資金の贈与についての課税特例は、制度を整理して継続されるようで、昨年末までに住宅資金贈与が間に合わなかった場合に於いても仕切り直しができるようになりそうです。
 
 もう一つが、ローン控除についてです。これも昨年で期限が切れた特例ですが、特例と言いながら数十年期限が延長されて適用されていたものです。
 
 今年度以降については、税額控除の額がローンの支払い利息を超えて差益が出るのを修正するために控除率を引き下げし、対象建物の内容を整理し継続されることとなるようです。

中山吉晴
税理士 中山 吉晴
子供がいない場合の相続は?

最近、子供がいない方の相続が、少しずつですが増えているようです。
子供がいない場合、誰に財産がいくのか?考えてみましょう。
 
まず相続人になれる順番は次の通りです。
第1順位 子(配偶者がいる場合は共同で相続人になります)(子+配偶者
第2順位 親(配偶者がいる場合は共同で相続人になります)(親+配偶者)
第3順位 兄弟姉妹(配偶者がいる場合は共同で相続人になります)(兄弟+配偶者)
 配偶者は、他の相続人対象者がいる場合、単独では相続できません。
ですから子がいない夫婦の場合、夫(あるいは妻)の兄弟と財産を分け合うことが多いです。
(親はすでに亡くなっているケースがほとんどですので)
法定相続分は配偶者3/4、兄弟姉妹1/4となります。
 
この場合、次の2つのケースが考えられます。
A.先祖代々の土地が相続財産である場合、その土地が配偶者(例えば妻)に3/4相続されて、その妻が亡くなったら、「妻の兄弟」にその3/4の土地がいくことになります。(子がいないため)
これは先祖伝来の財産が血のつながりのない人に流れてしまうことで、1/4しか相続できない夫の兄弟にとっては、許しがたいことと感じられるはずです。
B.逆に相続財産が全て、夫婦が築きあげた財産だけ(先祖からのものがない)である場合、その1/4が兄弟にいってしまうのは、配偶者にとって、身を切られる想いかもしれません。これを解決する方法には、遺言書を書く、信託をする、という二つの方法があります。
 
Bの場合は、遺言書で夫が全ての財産を配偶者(妻)に相続させると書けばOKです。
兄弟には遺留分がありませんので、1/4を守ることができます。
Aの場合は難しくて、遺言書という方法では万全とは言えません。
(夫が生きてるうちに、妻が「自分が相続した財産は全て夫の兄弟に遺贈する」という遺言書を作る方法が考えられますが、夫の死後に書き換えたり、財産を売却したり、抜け穴があります)
 
これを解決するには、信託という方法があります。
信託は夫の死後、妻に財産の受益権を渡し、さらにその妻の死後の受益権を指図することができます。
(つまり自分の死後の財産の配分をきめられる)
または、妻の死後、信託契約を終了し、その財産を自分の兄弟に渡すことも可能です。
これは信託銀行に依頼するか、弁護士などの専門家に相談して実行します。
 
もしも相続人が誰もいない場合は、財産は最終的に国に帰属します。

2022年2月号

白井清一
税理士 白井 清一
土地は捨てる事が出来るか?

 昨年、何回か所有者不明土地についての話をしましたが所有者が不明になる原因は、所有者がその土地を不要であると考えるからです。
 
 この不要な土地について、物を捨てるのと同様に捨てる(所有権を放棄する)ことはできないのでしょうか。
 
 残念ながら所有者は、その土地を自己の費用負担で維持管理しなければならず、土地を捨てることはできません。
 
 昨年春の国会で「相続土地国庫帰属制度」が創設され令和5年4月27日から適用されることになりました。
 
 この制度が話題に上がった時には、いらない土地を捨てる事が出来るようになるのではないかという期待が巷に広まりましたが、その実態は甘いものではなく、次のような土地は国庫に帰属するための申請をしても許可されないと言う事です。
① 建物が建っている土地や崖がある土地で管理が難しい土地
② 担保権や他人の権利などが設定されている土地
③ 他人が通路などとして使用している土地
④ 土壌汚染の有る土地、放置車両や産廃の不法投棄などが有る土地
⑤ 境界などについて争いの有る土地や裁判中の土地
⑥ 売買や贈与など相続以外で取得した土地
 
 これらに該当せず、承認申請が認められたら、その土地について国が計算した10年分の土地管理費用の負担金を納付することにより、国に所有権の登記が移されて国庫に帰属することになります。
 
 これから見ると、相続土地を国庫に帰属申請すると言う事は、利用価値のある土地を管理費用まで支払って国に引き渡すことであり、不要であるから処分したいと思う、いわば捨てたいと思うような土地については国に帰属申請をしても許可されないこととなりそうです。
 
 それならば、相続しても、不要な土地は登記もせず放置しようと言う事になりますが、令和6年4月1日からは登記についても罰則付きで義務化されます。

中山吉晴
税理士 中山 吉晴
経費になるか?資産になるか?の境目
例えば100円のボールペンを1本買った場合、税務上、 消耗品費(経費)になります。
しかし、200万円の新品の自動車を買った場合には、 車両運搬具(資産)になります。
消耗品費になれば、買ったときに全額経費になりますが、資産の場合には、買ったときには1円も経費にならず 、耐用年数(乗用車の場合6年)の期間に分けて経費にします。
このやり方が減価償却です。
ただ、値段が高くても、 既往の実績で1年使えないことが明かな物は、消耗品費になります。
 
また、同じ物を買っても違う経理方法になる場合があります。
たとえば文具店が販売用ボールペンを買ったり、自動車販売業が販売用自動車を買ったらそれは 仕入とされ、売れるまでは棚卸資産となり、経費や減価償却にはなりません。
 
税法上、経費となるか資産となるかは次のように金額で決まります。

取得価額30万円以上で、1年以上使える物は資産(減価償却)となります。
 
この制度を利用して、次のような節税が行われていたようです。
A、期末に、①や③の物を買って、全額経費にする。
B、①に該当する足場、ドローン、LED照明などを大量に買い経費にした上で、他の会社にリースして収入を得る。
  初年度で大量に経費になりますが、その後リース収入が利益になるため、長期的にはプラスマイナス0です。
このBの節税を押さえるため、令和4年の改正で、この制度が少し変わります。上記の①~③に該当する場合でも、他社に貸付ける(リース)場合は資産にし、通常の減価償却をする、という変更です。
これにより、Bの節税をやろうと思っても、減価償却費が経費になるだけなので、効果がありません
。さらに、少額な物でも償却資産税がかかるようになってしまいます。
 
ただ、自分の会社で使う物であれば、今まで通りなので、Aの節税は大丈夫です。
(特例でグループ会社へ貸し付ける場合は、今まで通りの扱いになります)
上記の改正は、国会で承認された後に施行され、令和4年4月1日以降に購入する物に対して適用される予定です。

2022年1月号

白井清一
税理士 白井 清一
国土・都市計画区域

 今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 年も改まり個人の確定申告も気になり始めますが、昨年、低未利用土地の譲渡所得の計算特例の対象となる土地は「都市計画区域」内にあることが要件の一つであると言う話を申し上げたところ、都市計画区域とはどのようなものかというお尋ねがありました。正月でもありますし、大きな風呂敷を少し広げた話をしてみたいと思います。
 
 まず、国土の利用に関する基本的な法律として「国土利用計画法」により国土利用に関する基本構想が掲げられています。この国土利用の方針の下、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り国土の均衡ある発展と公共の福祉を目的として「都市計画法」という法律が定められており、国や自治体によって計画的に都市の開発を行う「都市計画区域」とそれ以外の地域に区分されています。
 
 この都市計画区域について都市計画法に基づき、土地の開発や建物の建築に関して建築基準法、農地に関する農地法など土地の利用に関する法律が整備されています。
 
 我が国の国土面積ですが、国土地理院のデータによれば約38万平方キロメートルとされ、この国土に1億2千7百万人ほどの国民が住んでいるとの事です。
 
 この国土の内、都市計画区域とされている面積が全体の約25.7%の約9万8千平方キロメートルで、ここに全人口の91.6%の1億1千6百万人が住んでいると言う事になります。これから見ても我が国の人口は都市部に極端に集中していることがうかがい知れます。
 
 都市計画区域9万8千平方キロメートルについて地方自治体単位でさらに市街化を促進する地域として「市街化区域」と、市街化を抑制しようとする地域として「市街化調整区域」及び、そのどちらにも指定しない「無指定区域」に、いわゆる線引きがされています。
 
 この市街化調整区域や無指定区域の中に、農用地、山林、原野などが多くあり、耕作放棄や管理放棄など諸々の要因により利用状況が低い「低未利用地」が多くなっているのが現状です。

中山吉晴
税理士 中山 吉晴
電帳法について2年間緩和の経過措置が!!

今月のMBC合同会計ニュースにも取り上げております「電子帳簿保存法の改正」が令和4年1月1日からスタートしました。
しかしもっともやっかいな部分を実質上延長する経過措置が、令和3年12月10日の与党税制改正大綱で発表されました。(MBCニュースにはこの経過措置は載っていません)
それは「電子取引については電磁的記録を義務づける制度」について、
「令和5年12月31日までの間は、電磁的記録が保存できなかったことについてやむを得ない事情があると認められる場合には、書面による保存を認める」という経過措置です。
このやむを得ない事情とはどんなものかは現時点(12/16)では発表されていませんが、事実上の2年間の猶予措置のようです。
これは2年間の猶予を与える代わりに、その後は厳しく取り締まるものと考えられますので、早めに電磁的記録の準備、トレーニングを始めましょう。
 
1年の計は元旦にあり・・・PDCAを回そう!
このありふれた格言の意味は、行き当たりばったりにやるのではなく、スタートするときに目標を決め、計画を練ってから行動しましょうという意味だと思います。
何かあまりにも当たり前のことを優等生的に上から目線で言われている気がして、若い頃は反発していましたが、これって事業の神髄ですね。
 
最近の言い方だと、PDCAを回す、でしょうか。
P(プラン計画する)、D(do実行する)、C(チェック評価する)、A(アクト問題点を改善する)を回し続けることで、事業は継続して発展します。
この中で最も重要なのがP、計画です。
そして私のように勉強が苦手だった者にとって、「計画」ほど面倒なことはありません。
しかし、計画無しでやっていると、結局目の前の業務をこなし、起きた問題に対応するだけが社長の仕事になりかねません。(私もそうです)
 
せっかくのお正月、5年後の会社の姿を夢見てみませんか?
売上を倍にする!社員の給料を増やす!工場を広くする!というゆるい感じでいいんです。
5年後の自分や、社員の年齢も計算しましょう。
それを紙に書けば、中期経営計画です。(いい加減でいいのです)
そして5年後にそれを実現するための短期経営計画書は、数字をいれて一緒に考えましょう。