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税理士 小林 康志2025年 1月号 税務調査事前準備
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2025年2月号
忘れたころにやって来る!
相続税の税務調査の推定要件とは
相続税の税務調査は通常、申告を終えて1~3年後ぐらいに行われます。税務調査が実施されると、申告漏れ等が指摘される割合は80%以上と言われ、実際に令和5年に発表された申告誤りは約86%に上り、1件当たりの追徴課税額は800万円を超えています。
相続税の税務調査の対象を国税局が公表しているわけではありませんが、いくつかのパターンを推測することはできます。その一つが名義預金と生前贈与です。家族間のお金の流れで、例えばパートの配偶者の預金残高が不自然に多額な場合などが例に挙げられます。また、贈与された金銭についてその通帳の管理者が被相続人(亡くなった人)であれば、それは名義預金と判断され相続財産とみなされる可能性があり、注意が必要です。
また、同族会社の社長、医師、弁護士など相対的に所得が高い(と思われる)職種の場合、税務調査の確率が高くなる傾向にあります。これらの職種で財産が不自然に少ない場合には、当然のことながらその理由は徹底的に調べられます。預金などの頻繁な出入り、同族会社の株価なども焦点に挙げられます。
相続税の基礎控除が大幅に引き下げられ、相続税大増税時代を迎えております。申告誤りで多額な追徴課税を請求されないようにするためにも、慎重に適切な対応が必要となります。
※今月より、税理士が一人ずつ交互でメッセージをお伝えしていきます。
2025年1月号
税務調査事前準備
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
昨年の税理士メッセージは税務調査について事前準備が必要です、というところで終了しました。今回は事前準備についてお知らせしたいと思います。
①経理処理でミスは無いかなどを見直して指摘されるリスクを洗いだします。以下の事項を確認しましょう。
- 過去3年~5年の申告書、総勘定元帳、領収書、通帳などの資料
- 売上、仕入の計上時期や計上方法の確認
- 固定資産台帳にある資産の確認(会社経費で購入した資産を個人で使用していないかなど)
- 組織図や座席表の確認(給料を払っている人と組織図、座席表が一致するかを見られることがあります)
②一定額以上の会計処理などの確認
- 業種によっての差はありますが、少なくとも100万円以上の取引全て税務上問題ないか、契約書など必要書類がそろっているか確認します。
- 売上、仕入、外注費、棚卸資産その他金額が大きい取引と元資料(請求書・領収書など)との整合性、役員報酬の決め方など
- 支払額が3万円以上の領収書の内容の確認(何の支出なのか)
- 契約書、議事録の確認(当社にとっての成果物は何かや、印紙も注意)
③机の中、机の上、金庫などの整理
- 事務所にあるものは全て事業に関係のあるもののはずですので調査官が「見たい」と言ったら見せなければなりません。もしプライベートの物があれば事前に持ち帰った方が良いでしょう(変な誤解を招かないため)。